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366.社会変動と精神科臨床

2022.02.05

366.社会変動と精神科臨床

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。日々元気に営業しております。

 精神分析の大家である西園昌久先生は、福間病院顧問を長くお務めだったこともあり、また、せっかくなら精神分析も学んでみようと思って、西園先生の運営される研究所主催の精神分析セミナーに1年通ったことがあります。

 そのご縁を頂き、年賀状は毎年ご挨拶させて頂いているのですが、この度、論文を贈呈して頂きました。
 簡単にまとめてみますと。

1)ほとんどの精神障害の治療に必要な4条件として
 ①適切な薬物療法と心理教育
 ②社会生活技能の障害に対する生活療法
 ③自己喪失感から救出するための精神療法
 ④家族機能、支持の回復による社会的不利益の改善

が挙げられ、さらに、今日では5番目として
 
 ⑤精神科医は、薬の効果に過剰に期待していないだろうか?

 と言う疑問を提出されました。

つぎに、
2)今日の人びとは何を求めて苦労しているのかーその時代的特徴と変遷
 として、マズローの欲求の階層理論を紹介されています。

3)人格発達段階におけるコミュニケーション能力発達についての今日的課題
 として、6つの点を指摘されています。

 ①幼少時の家庭内緊張・孤立した子育て
 ②少子化・核家族化に伴う同胞間並びに、3世代間コミュニケーションの減少
 ③昔型地域にみられた「子どもの伝統的遊び」の消失
 ④思春期における仲間からの孤立・いじめられ体験
 ⑤塾通い・インターネット遊び
 ⑥未婚男女の増加~他人と暮らすのが面倒という考えでの結婚回避

そして、今後のものとして

3.適切な精神科医療をするための多職種協働(チーム医療)の必要性
4.多職種協働(チーム医療)への期待

などについて詳しく述べておられます。

本論文を参照されたい方は
→日本社会精神医学会雑誌vol.30 No.4 340-345をご参照下さい。

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