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881.読経の勧め

2023.07.13

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 時々、親兄弟や配偶者などを亡くした悲嘆反応のご相談を受けています。
 そのおうちの宗教的背景を伺った上で、仏教系のおうちであれば、読経のお勧めをしています。

 別に、霊魂を沈めるとか、法事をしないと祟りがあるとか、全く信じていません。

 しかし、心理学的側面から見て、読経にはいくつか良い所があります。

・正座で行う
・ある程度長い時間声を出すワークである。
・ありがたそうな文言だが意味が分かりかねる(←そこが良い)

 まず、正座をすることにより、姿勢を正すことが出来ます。死者に対して生前もそうなのですが、きちんと正座して向き合ったことがあるでしょうか。死という厳然とした事実は、命あるものは必ず終わりがあるということであり、斜め座りで向き合えるものではありません。死とは正対して向き合う必要があります。その意味で正座は最も推奨される姿勢です。

 次に、声出しです。
 カラオケや賛美歌になりますと、歌詞にそれなりの意味があり、歌っている内にその意味に引っ張られてしまいます。声を出さないよりは良いかもしれませんが、内なる声とアウトプットする声が一致しないという現象が発生し得ます。
 そこで大事なのはありがたそうな文言だが意味がわからないという所です。
 
 じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ かいじゃりすいぎょの すいぎょうまつ・・・

 でもいいのかもしれませんが、これはこれで覚えるのも読むのも大変そうです。

 お経の場合、意味がわからないこともあり、色々気持ちがあちこちへ行きます。その際に故人のことを回想することになります。これが心理学で言う所の回想法になっており、回想を行うことで喪の作業、心の整理が進むわけです。

 信心深いおうちでは四十九日までは毎晩家族で読経したということですが、それなりに効果があったのかもしれませんね。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分